今回の現場では、江戸情緒あふれる家屋の手作りミニチュアが多くのこっていました。
お客さんと話すことにより、それが亡くなられたお父様の作品であることがわかりました。
お父様は、深川生まれの深川育ち。こよなく下町の人情味ある風情を愛されていたことでしょう。
そして、そのような思い出深い昔ながらの建物を、自身の手によって再現したいとの想いから、余暇を利用して創作を続けていました。
お父様としては、「家族に迷惑をかけているようだが、そんなことはお構いなし」との思いであったようです。まさにわが道をいく、昔気質の人物像が彷彿とします。江戸っ子
多くの作品が遺品の中に含まれており、特にお父様が大切にされていたものは、娘であるお客さんが引き取られました。近所の方にも形見分けとして、いくつかを渡されていたようです。
その中の一つを私も頂き、現在自室に飾っています。
作品は「天安の家屋風景」。
しかし、私はその天安というものが、どこに存在し、どのような店であるかを知りませんでした。
天が付くから、天ぷら屋かな?という、勝手な想像もしました。
自宅に戻り、ネット検索をしてみると、佃島の老舗佃煮店として見つけることができたのです。写真で見る店構えは、まさに模型と同じ。何十年も前に、故人が見て模型として製作したそのものです。
現場作業の翌日、久しぶりの休日を利用して、佃島へと出かけました。
時折、近くを車で通ってはいたのですが、お店界隈は、綺麗に整備されており、江戸情緒的な雰囲気を味わうことができます。
そして、「天安」のお店を発見!
模型と同じですから、すぐにわかりました。
お店に入ると、佃煮の何とも言いがたい、おいしそうな臭いが漂っています。
陳列ケースには、いくつもの佃煮が並び、どれもおいしそうに見えます。
きっとお父さんもここで写真を撮り、その後、お店に入り、昔ながらの味が残る佃煮を買いこんだことでしょう。そして、その日の家族の食卓にそれが並び、妻と子供がおいしそうに味わっている、そんな姿がイメージされるのです。
ちっぽけな遺品ですが、私を佃島へと誘い、そして佃島の由来をはじめとして、老舗店舗を教えてくれました。さらには、そこで売られている佃煮の味に感激して、好きなお酒もさらにすすむというものでした。
現場では、常に毎回勉強です。遺品は単に不用な物ではなく、このように私たちに何かを教えてくれているのです。今回の遺品は、タイムトラベルの機会を与えてくれたのです。
もちろん、そこには故人の想いがたくさん詰まっており、私たち遺品整理人は、その想いを自分のものとして作業に従事しなければなりません。
理想の遺品整理とは、常にそのような姿勢を保ち、現場にのぞむのです。
来月には、そのような気持ちを込めた作業風景がテレビ放映されます。
決してポーズではなく、ありがままのあんしんネットの遺品整理が映し出されますので、ぜひご覧下さい。
■東京都大田区の遺品整理・福祉整理・特殊清掃会社「あんしんネット」のホームページ → 遺品整理・福祉整理のあんしんネット
■遺品整理・福祉整理・特殊清掃を新人が挑戦・新人見習いブログ → 遺品整理人見習い奮闘記
■突然の葬儀にも困らない、懇切丁寧な解説ブログ→あんしんネットの『葬儀読本』