私たちの行なう整理現場。
一つ一つ、その現場に合わせたシナリオを現場監督者が作ります。
ドラマにたとえるならば、台本作りです。
この台本の構成を誤ると、現場は大変な騒ぎとなります。
先日のこと。
件の新人君が、戸建て2階建ての遺品整理の見積りに入りました。
物量は10t分。
戸建てで10tあれば、中の恐ろしい様子が容易に浮かび上がってきます。
かなりの物が詰まっている状態なのです。
遺品であれゴミであれ、残されたものを撤去するのが私たちの整理作業です。
新人君は早速に台本作りに入りました。
6名で作業を行い、2tロングのトラックを4台配車させ、全ての物を搬出するという基本構想を打ちたてました。
ごく一般的な発想なのですが、この基本構想が間違うと、現場は大混乱となります。
これまでに多くの現場をこなした私でも、10tクラスの遺品整理となると、慎重に台本作りを行ないます。
具体的に、どの部屋に誰を配置させるか。これはキャストの決定です。
具体的な動き、ここからが台本作りです。
キャストの動きをイメージして、時系列で整理内容をイメージしていきます。
台所を片付けたら、次はリビングの片付け。寝室。
最後は、外回りの整理。などなど。
スタート時間が午前10時ならば、何時にオフとなり、幕が閉じるのか。
そこまでの予測を緻密に打ち立てていきます。
今回、新人君に、室内の具体的な状況を聞いても、その様子が具体的に伝わってきません。
ということは、具体的な作業イメージがわかないわけですから、結果は最悪の状況となることは目に見えています。
作業当日のこと。
依頼の戸建て住居の中へ入ってみると。
ヒアリングの内容と、かなりの隔たりがあり、「これは物理的に一日での作業は無理だろう」というのが、私の台本でした。
依頼者は、「何時におわりますか?」との質問をされます。
対して、新人君は困った顔に表情が変わりました。
まだ作業を始めていないのに、何時に終わるかを伝えることは難しいものです。
「今から作業を開始して、昼過ぎに時間をお知らせします。ただし、今回は物が多い為に、私の予測では、一日での作業が困難だと思います。トラックの配車もおそらく1台追加しないと駄目ですし、資材も不足することが考えられます。はっきり言うと、見積りの物量が少なく、お客様からするとそれだけ低価格となっていますが、現場サイドは後日現場を構えなければ回収が不可能ということです。」
屋内はかなりの不用品やゴミが積み上がっており、その品目により、容積が増える物と少なくなるという2つの区別がありますが、今回のケースは前者でした。
依頼者の理解をいただき、当日は屋内の物の回収は無事終了。ただし、屋外の物が残ったままとなり、後日体制を立て直して、最終的な回収を行ないました。
整理現場は、一つ一つが違う環境にあり、まさに現場ごとの台本が必要になります。
私たちコーディネーターは、常に最高の台本作りに日々取り組んでいます。
近日、大阪毎日放送制作の『遺品整理人 谷崎藍子』の第二弾制作が始まります。
脚本は、前作に続き清水有生先生です。
私たち「遺品整理人」の仕事に対する想いも含めて、台本の中に取り入れていただけると確信しています。
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