早いもので、今年もあと2か月と数日を残すところまできています。
歳を重ねるにつれて、時間が経過するのが早く感じられるものですが、なぜそうなるかを深く考えていませんでした。
何となくいつものようにという風に考えて行動すると、考えることも少なく、新しいことへの挑戦も少なくなり、時間に対する感覚が鈍くなり、結果として時間の経過を早く感じてしまうのかも知れません。
先日、あんしんネットのスタッフ数人と、6か月ぶりに「歴史探訪ツアー」を行ないました。
今回のテーマは、「渋沢栄一翁の足跡をたどって」と銘打ち、北区の飛鳥山をスタート地点にして、旧古河庭園や六義園、小石川植物園を周ることにしました。
歴史探訪ですから、飛鳥山からのルートは昔の人と同じように、全て徒歩での移動となります。最終地点の茗荷谷まで、約17km。足の疲れはあまり感じることなく、江戸期の日本庭園はじめ、明治期の財閥が建てた洋館や庭園など、当時の面影を偲び鑑賞しました。
考えて行動に移す場合の時間は、すぐには経過しないと実感したものです。
遺品整理と歴史というものは、実は密接なつながりがありますから、そんな歴史をスタッフには感じ取ってもらいたいものです。
渋沢栄一と言えば、新1万円札の人物、これだけの答えでは、渋沢栄一を語ってはいません。
彼の生い立ちから始まり、幕末の志士としての動き、渡欧での生活、明治期の活動など、人としての歴史を見ていくと興味は高まります。また彼が立ち上げた会社の数々も、現在に脈々とその功績を残し続いています。
飛鳥山という場所も、徳川8代将軍吉宗と密接に繋がり、当時の時代背景が偲ばれます。
東京という都市の中に、時間がとまったように思える空間が残っており、そこを訪ねることも心身ともに癒されるというものです。
前回は上野周辺の探訪でしたが、次回は江戸の下町散策などを企画して、旅は続けていきたいものです。
さて、年の瀬も近づいてきましたが、先日のNHKの番組放映についてお話したいと思います。
9月20日に「時をかけるテレビ~いまこそ見たいこの1本~」という番組です。
池上彰さんがMCで、この時はゲストにさだまさしさんが登場。今から17年前に放映された番組です。その番組名は「にっぽんの現場」というもので、遺品整理会社の密着ドキュメンタリーで、当時私が所属していた遺品整理会社の現場シーンが出てきました。
会社名は伏せますが、当時は朝の7時くらいには出社して、帰宅は毎日22時頃となり、現在の労基からいくとかなり抵触しています(ちなみにタイムカードがありませんでした)。
連日の現場入りとなるのですが、依頼された遺族とのやり取りなどが映し出され、私自身当時から遺品整理は物と心の整理であると肝に銘じて業務にあたっていました。
物の整理は、それを処分すれば終わりです。もっとも大切なことは、依頼された遺族の心の整理であり、それを現場やそれ以外のところでも常に心がける姿勢が求められます。
私の場合は、まだ気持ちの整理がついていない遺族に対しては、必ず自筆の手紙を書いて送るようにしています。文字は決して上手とは言えないのですが、自分の気持ちを文字に託して相手に伝えるということは、日本人が古くから続けている尊い習わしであり、そう思うからこそ時間を費やして手紙をしたためます。
そういった手紙に対して、多くの遺族は真心こめた手紙を返してくれます。文面を確認し、心の整理がついたなと感じた瞬間が、自分にとっては大きな喜びとなり、それが次への活力へと繋がっていきます。
こうして細やかながら人と人との繋がりができあがり、そういった方からのリピート要請も多く受けています。
現代社会はこのような手紙文化が薄れており、何とか若い世代も受け継いでもらいたいと思うのですが、スタッフの中でもそれを実践している者が少ないというのが残念です。
字を書くこと自体、精神が統一されて、書けばかくほど文章表現力も高まります。スマホ世代がどこまで自覚するかは定かではありませんが、もう一度手紙というものを見直してもらいたいものです。
話が逸れましたが、番組ではそういった手紙のやり取りのシーンも映し出され、遺族の気持ちの整理ができていったのですが、そのようなシーンを見ていたさだまさしさんは、それをもとに「アントキノイノチ」を小説で書かれ、女優の高畑淳子さんもドラマで遺品整理をやっているスタッフを演じたいとの希望で「遺品整理人・谷崎藍子」シリーズが出来上がりました。
日常業務で普通におこなっている仕事ぶりを評価されることは嬉しいものです。
私はその整理会社を放映後数か月で退職し、現在のあんしんネットの設立に参画し、今のスタイルを作りました。
利益優先と考えるよりも、社会に貢献できる整理の仕組みを作り上げることに努めましたが、それが現在多くの方から評価を得ているようです。誠にありがたい限りです。
17年前の自分の姿をテレビで見ると、まだまだ若かったと思ってしまいますが、気持ちはいつまでも若者でいたいものです。
11月も迫ってきましたが、すでに11月は4現場の担当として現場入りです。講演活動も11月は6会場回ることとなっています。その会場の1つに、父親が介護でお世話になっている福岡の地域包括支援センターでのセミナーもあります。父親の顔を見る為に帰省しますが、そのついでにセミナー開催となりましたが、親が世話になっているセンターですので、喜んで引き受けることにしました。父親にも聞いてもらいたいのですが、なにぶん耳が遠いのでそれは遠慮してもらいますが、私にとっては嬉しい限りです。 時を感じる話を記しましたが、まだまだその時を記すブログは続いていきます。