先日の休みに、「欲望という名の電車」を観に行きました。
劇団青年座の交流プロジェクトとして公演中で、3時間半にもわたる舞台に、
終始引き込まれてしまいました。
今回の主演(ブランチ役)をつとめたのは、高畑淳子さんです。
いつも劇を観て思うことは、「よくもあれだけの台詞を覚えられるな」ということ。
役者という職業柄、まずは台詞を覚えないことには演技はできません。
だから覚えるしかないとは思いますが、それにしても約3時間半にもわたり、
台本なしに良く次から次に言葉が出てくるものだと、不思議な心持ちとなります。
しかし、迫真の演技を見ていると、舞台に吸い込まれてしまい、
自分が舞台上の演技者のすぐ脇にいる錯覚に陥ってしまいます。
観る者と観られる者とが、まさに一体となった瞬間だと思いますが、
その状況を作り出すための練習は並大抵のことではないでしょう。
遺品整理にも台本が必要であると、以前記しました。
現場監督が、作業台本を作り、そして脚本として仕上げ、配役を定めて、作業の指示を与えます。
作業が終わった時点で、当日の演目がすべて完了したことになるのですが、
舞台と同じように、観客である依頼者(遺族)と一体となれるような、そんな遺品整理を心がけたいものです。
最近、「遺品整理士」という資格認定の存在を知りました。
遺品整理人の立場で思うことは、「誰が、何を基準に、どのような資格でもって認定をするのか」疑問です。
もちろん公的なものではなく、民間の考えで行っている認定制度です。
「遺品整理の開業支援」までのサービスを展開していますが、わずか2ヶ月という短期間の通信講座で、
遺品整理は決してできるとは思いません。
数多くの現場を踏んだ私自身、いまだに日々研鑽であり、マニュアルを作っても、
常に更新して最新のものに改めないと時代に取り残される状況なのです。
遺品整理で一番大切なことは、作業ぶりや処理方法、接客姿勢などではなく、
作業に従事する人の心持ちだと確信しています。
どのような気持ちで整理を行なうのか。
整理の段取りを、どのように組むのか。
遺族の気持ちを、どのように汲み取るのか。
気持にも、さまざまな要素があり、それを定義づけて教えることは誰にもできないと思うのです。
私は、「遺品整理人」です。
職人気質で、この仕事を続けていきたいと思っていますし、
その職人を必要とする遺族のもとへと行きたいと考えています。
資格があれば、それで良しというものではないというのが、遺品整理の世界であるとも思います。
常に、日本一の遺品整理人を目指して、
明日もまた、現場へと駆けつけます。
(明日は、福祉整理の現場でした)
*欲望という名の電車は、今月25日まで、公演していますので、
ぜひとも、観て、感動して欲しいものです。
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