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奥様の形見で残していた衣装ケースへの張り紙

奥様の形見で残していた衣装ケースへの張り紙

私たちが遺品整理をする中で、遺族側に貴重品として引き渡す物に「写真やアルバム」があります。

写真やアルバムも数枚程度ならまだしも、通常は段ボール箱に34箱程度残されています。

それを手にした遺族の皆さんは、一様に「どうしたらいいのか?」悩んでしまいます。

「もしかしたら、お父さんやお母さんの魂が宿っているかも・・」

「ゴミとして捨てるにはしのびない」

様々な思いが飛び交います。

 

そこで、気持ちの整理を簡単につけられるのは、「供養」して処分を行なうという流れです。

あんしんネットでは、それらの品を寺院に持ち込み、物そのものの供養というより、亡くなられた故人の菩提を祈念してもらう供養法要をお願いしています。

仏教的な解釈では、物に魂が宿るという発想はありませんので、やはりそこは故人やもしくはご先祖への供養を行なうことになります。

その点を寺院の住職とも共通認識で持ち、遺族側へもその旨を知らせているのです。

 

良く「遺品の合同供養」という言葉を耳にします。

実は、遺品に対して供養をするという発想そのものがおかしなもので、あくまでも祈りの対象は、仏教でのならわしていけば、仏様になるのです。その仏様からいただけるありがたい功徳を、故人に手向けるというのが、正しい理解だと考えています。

ですから「遺品の合同供養」というのは、おかしな発想で、それをサービスとして展開するのはいかがなものかと、考えてしまいます。

 

残された写真やアルバム。

実は、それを残さないようにすれば良いと考えています。

一般に、写真やアルバムは、ひとたび箱の中にしまってしまうと、それは開かずの箱となり、良くて10年に1度くらいしか開けることはありません。もしかすると、死ぬまで開けないケースも多くあることでしょう。

自分が元気なうちに、それを自分で整理することを勧めています。

遺品となれば、遺族の整理の手がとまり、故人のことを思い出して、どうしていいのかわからなくなってしまいます。

 

デジタル化が進んだ今、写真やアルバムをデジタルなデータとして保存することも可能です。これは、スキャナーで写真などの画像を読み込み、パソコンなどに残しておくやり方です。

高齢者でパソコンに不慣れという方は、それを扱う業者に依頼をかけるのも一つの方法です。

「そんなややこしいことはしたくない」と、考えるなら、せめて写真やアルバムの箱に、張り紙をすることをお勧めします。

 

『私の写真やアルバムは、遺品整理の際に、心おきなく処分して下さい』との言葉があれば、遺族は気を楽にして処分することができます。

整理というものは、このように処分は今しないけど、将来的に物をどうするかと、その行き先を決めてあげる行為なのです。

それが写真であったり、衣類であったり、趣味の物であったりと様々ですが、元気なうちに自分の物の整理をする。これが大切なことだとつくづく思います。

 

先日の遺品整理現場では、故人の先立たれた奥様の衣類が衣装ケース3箱分、押し入れに収納されていました。故人は、奥様の形見として大切に保管されていたのですが、その本人が亡くなると、もう思いを持つ人がいません。

その為に、自分のもしもの時は、速やかに処分をして欲しいとの張り紙をされていました。

整理をする側としては、適切な指示書となり、悩むこともありません。

ですから、このような張り紙をするということは、大切なことだと考えます。

 

先週のNHK総合番組「ゆうどき」での反響が大きく、連日多くの視聴者からの問い合わせや相談が入っています。

スタッフも休みなく、見積もりや現場へと出動し、慌ただしく動いていますが、寒さに負けることなく、遺品整理や福祉整理を行なってまいります。

 

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