遺品整理の仕事は、常に死と向かい合った空間での作業です。
その為に、「生」と「死」という人間にとって、永遠のテーマを日常の中で考えてしまいます。
孤独死で亡くなった人。
しかし、亡くなる前は、その場所で生活を続けて生きていたのです。
生きていた時に使用していた物は「生活日常品」。それがひとたび亡くなってしまうと「遺品」へと転じてしまいます。
その遺品を整理するのが、「遺品整理屋」とも言われる私たちの仕事なのです。
最近、「遺品整理」を標榜する業者が増えてきています。
ネットを巧みに利用して営業を展開する業者も出ています。一般の方にしてみると、作業内容をはじめとして、その整理料金がいくらかかるのか?というのも、大きな疑問符となります。
これまでにも、いくつかの見積り事例を紹介していますが、最近の料金設定の特徴を記してみましょう。
①一般消費者が何もわからないことをいいことに、高額な金額を設定する
・見積もりの時に、物の量が2トントラック1台分しかないのに、それがあたかも3台は必要であると話して、依頼者にそう思わせて高額な料金を請求するやり方です
②同業他社の見積もりが入った場合に、逆に低額な金額を設定する
・ほとんどの場合は、個人で遺品整理を行なう業者ですが、同業の個人業者を現場に集めて、細かな分別を行ない、家庭用ごみとして行政のごみ回収便で遺品を処理するやり方です。現場が公団の団地などの場合、エレベーターフロアーなどに遺品を並べて、ごみあさりをしているような光景を目にしますが、それです。また、遺族の許可なく、遺品をリサイクル品としてリサイクル業者に流す業者が増えてきています。団地のゴミ集荷場に搬出する業者も見かけます。
③孤独死現場の場合、臭いをなくすために効果的な「消臭機材」を設置しますが、その機材を詳しく説明することなく、「これを設置してオゾンによって臭いを消していきます。最低でも2週間は入れないと臭いはなくなりません」と決まり文句を並べて、なかば強制的に設置します。
・孤独死現場の整理を依頼する遺族としては、1日でも早く臭いをなくして欲しいと思っていますので、そこに付け込み、高額な請求をする業者がいます。
1日の消臭作業費単価が仮に25,000円ならば、それを14日間入れると350,000円。それが高いと相談を受けて見積もりに入ったことがありますが、臭いレベルは2程度。
3日間で臭いが取れる現場でしたが、あんしんネットでは45,000円の料金設定でした。
最近では、1日に30,000円の値段設定をしている業者もあるようですが、これで14日間設置すると420,000円。オゾン消臭機が簡単に1台購入できる金額となります。果たして適正な料金設定と言えるのか。まさに弱味に付け込んだ悪徳商法としか言えません。
業者の名前も値段もわかっていますので、1日でも早い改善をお願いしたいものです。
現場で働くスタッフは、遺族と話をして、遺族の気持ちをくみ取り、作業を行ないます。
「不純な動機」がある中で、「純粋な作業」を完遂させることはできません。
「正」を養う遺品整理が望まれる今日、粗利稼ぎを第一義とする会社があるならば、この業界全体が悪いイメージとなり、悪しき体質を作り上げてしまいます。
④遺品整理の見積もりは、単に現場を整理すればいいとは限りません。そこに付帯する様々なサービス提案があるのです。広い視野でリフォームの話や様々な手続きについてもアドバイスをしなければいけません。
最近残念に思うことは、そのようにトータルでアドバイスができる業者が少ないということです。
依頼者側が今何を欲しているのかを瞬時に見極めることが必要ですし、一方的に提示するのではなく、互いに良い方向性を示せるアドバイスが望まれます。これは遺品整理に限らず、すべての整理に共通する大切なことなのです。
6月は、あんしんネットの遺品整理がテレビ朝日「スーパーJチャンネル」で紹介されましたが、多くの方から相談や依頼の連絡をいただきました。中には励ましのお電話もあり、仕事への意欲もわき、ありがたいことです。
これから暑さ本番を迎えますが、夏の暑さに負けずに、整理を続けていきたいと思います。