この時期、残念ながら「孤独死」や「孤立死」現場というのが増えてきます。
季節の変わり目で、さらに気温の上下変化が激しい時期に、それに耐えられずに自室で亡くなる方がいるということです。それも、誰にも看取られることがなく。
連日、そのような現場の整理依頼や相談が入りますが、現場状況によって、作業内容も変わります。1つとして同じ現場はないのです。
見積時に応急処置をしなければいけない現場、これは近隣への臭いや害虫被害をなくすために必要で、速やかに処置しなければいけません。
ただし、現場経験のない担当者が足を踏み入れると、いい加減な処置をやってしまいます。
つい先日も、死後経過数週間という現場で、遺品整理の見積もりに立ち合いました。
そこはすでに賃貸住宅のオーナーが、他社で応急処置と消臭作業の依頼をして、実際に見積時にはオゾン消臭器が稼働していました。
ここで、まず驚いたことは玄関ドアを通常は養生テープを張り、中のオゾンや害虫が外に漏れないような「目張り」を施すのですが、それがなんとクラフトテープを貼り付けて、さらに貼り付けた後に何回かドアを開閉させたのでしょうが、テープはドアと壁の間に挟まって、全く目張りの意味をなさない状態となっていました。玄関ドアだけでなく、窓ガラス部分にもクラフトテープを貼り付けていましたが、それも何故ここに貼り付けたのか、意味不明でした。
目張りをする際は、オーナー側や管理会社にその了解を取ることはイロハのイで、仮にドアのペイントが剥がれることになれば、それは損害賠償ともなりかねません。テープを張ればいいというものではないのです。
さて、中に入ると、臭気はまったく無くなっておらずで、オゾンの発生レベルを見ると最低レベルに設定していたのがわかりました。
オゾンの発生レベルは、そこの臭気と、さらに空間の広さによって変えなければいけません。それが全くわかっていないので、最低レベルになっていたと思われます。これでは、オゾン消臭をした意味がなく、それで依頼者側に請求をするのですから、請求をされた側も「たまったものではない」ということとなります。
さらに畳の上で故人は亡くなられており、その畳の処置もいい加減なものでした。大きなビニールに包むのですが、そのビニールに幾つかの穴が空いており、そこから中の臭気がいつまでも出ていますから、消臭なんてできないことになります。本来は、その時点で、畳はいち早く撤去すべきと考えます。
そこでの請求費用は20万に近い金額でした。しかし、残念ながら担当者の経験値が足りないのと、上司の指示も出ていなかったのでしょう、最低な施工をしていました。
さらに施工した業者は、遺品整理の見積書も提示していましたが、40万円を超える料金です。
初動処置のお粗末さを見ただけで、その業者のレベルを知ることができますが、そこは都内でも遺品整理会社としては有名な業者です。
実際に見積書を見ると、物量は正確ではなく、水増し物量となっており、家電リサイクル品の回収・リサイクル費用も、全ての品目料金が同一で、普通に考えてもおかしな値付けとなっています。(あんしんは、エアコン4000円、テレビ大型5000円、小型3500円、エアコン4000円と言ったように、リサイクル料金と回収費用を足し合わせた金額提示ですが、一律8000円とか9000円と値付けをするのはいかがなものかと思われる)
私が出した遺品整理の見積もり金額は、30万円台でしたが、やはり金額に大きな差が出ているのです。
突然の不幸に見舞われた遺族に、その気持ちを汲み取ることなく、さらに不当な料金提示をするのは誰が聞いても「良くない」ことです。
そんな時こそ、親身に依頼者側の声に耳を傾けて、できる限りのアドバイスをして、まずは心の整理をしてもらうのが、我々「遺品整理会社」の使命であると感じます。
前回も、この業界で起こっている残念な話を伝えましたが、同業者とは呼びたくはありませんが、恥ずかしいことだと感じてしまいます。
特殊清掃を行ないますと名乗っている業者は、どのような現場にも対応できる技術を持ってもらいたいものですが、技術や経験がないならば、速やかに看板から外してもらいたいものです。
あんしんネットでは、様々な現場に対応した現場技術の研鑽を続けています。昨年高校を卒業してこの職種を希望して入社したスタッフも、怖気づくことなく現場に入ります。頼もしい限りです。
季節はまもなく梅雨入りです。気温も高まる予測が出ていますが、雨にも、夏の暑さにも負けずに、現場や講演活動には頑張りたいと思います。まさに、「そういう者に私はなりたい」。