先日の孤独死をされた男性の自宅は、4LDKの間取りでしたが、そのうちの大半がゴミが積み上がっていました。
テレビの映像などで良くお目にかかる「ゴミ屋敷」なのです。
通常、死後1ヶ月以上も経過すると、そこには大量の虫が湧きます。ここでいう虫は、蛆や蝿なのですが、生ゴミが多いと言うことは、その他にゴキブリも大量に発生していることが考えられます。
現場では、まずこれらの虫退治から作業は始まります。早期に殺虫しなければ、近隣にも迷惑をかけてしまいますし、何よりもその現場を現状復帰させるためにも必要な作業なのです。
ちなみに生ゴミが6畳間に背の高さ程に積みあがっていると、それだけを片付けるだけでも凡そ4t分の容量のトラックが必要になります。コンビニの買い物袋の中に、弁当の残飯が残っていたり、飲みかけのビールやジュースといった水物があったり、多量の衣服があったりと、人によってゴミの種類も様々です。
今回の故人は、食べ物系のゴミが自分で整理できないでいた方なのでしょう。買ってまだ手をつけていない多量の缶詰、レトルト食品の山、冷蔵庫にも大量の食物が詰まっていました。
最近は、大量の食品を買いあさっては、食べずに部屋に積み重ねていくという高齢の方が増えています。これは、精神医学の世界では、「ディオゲネス症候群」という病名で呼ばれている症状で、別名を「老年性隠遁症候群」ともいいます。
幼年期に飢餓体験があり、その時の飢えの恐怖が心の奥底にあり、それを解消する為に無意識的に行動してしまうそうです。
おそらく故人は、戦後の食料不足の中で、そのような体験があったのでしょう。
殺虫作業後は、この現場をどう片付けていくかを担当者は段取ることになります。この時に、依頼者であるご遺族との細密な打ち合わせを行うことになります。単純に作業すればいいというのではなく、遺族側の意向を十分に伺い、また作業内容についても細部に至るまでを説明し、共通認識を持つことになります。
今回の現場では、まず臭いがきついので、室内の消臭作業を行ない、その後に家財の撤去を行なうことになりました。