あんしんネットが語られる時、時として「特殊清掃会社」という言葉が使われます。
別段、我々が言いはじめたわけではなく、NHKの「無縁社会」シリーズで、当社の作業現場映像紹介の折に紹介され、以来、特殊な清掃を行なう会社という意味で使われているようです。
その中にいるスタッフは、遺品整理の一環としての清掃ですから、何も特殊なことをやっているとは思っておらず、第三者との意識の隔たりがあります。
つい先日のこと、三浦半島で孤独死現場の整理を行ないました。
死後1カ月。
大量の蠅が窓ガラスにびっしりとはりついた有様と、得体の知れない悪臭により、近隣の方からの通報により、遺体が発見されました。
布団の上で亡くなられていたのですが、室内は大量の蠅と蛆。臭いは死臭であり、臭いレベルとしては、かなり高い数値を測定機は示していました。
現場整理は、約4時間で完了しましたが、土地柄、下水道の整備が整っておらず、くみ取り車が町を巡回しています。
作業も終わるころに、現場のくみ取りが行なわれたのですが、くみ取りスタッフからは、「死臭は耐えられる臭いではないよ。よくその臭いの中で作業ができるなー」と、感心した言葉をもらいました。
私たちから言うと逆の言葉を返すと思うのですが、第三者からすると、やはり特殊な作業を行なっていると感じたのでしょう。
確かに、作業については普段の現場と違い、まずは「衛生面」に対して気をつかいます。
遺体は腐敗していたわけですから、多くの病原菌や害虫がそこに存在しています。
体液を素手で触ってしまうと、病気に感染する虞があります。
肝炎で亡くなられた方の現場だと、血液や空気感染に関しても要注意です。
もちろん夏場と言えども、長袖シャツに帽子は必需品で、半袖や素手で作業をすることは自殺行為ともとれます。
特にひどい現場では、防護服を纏い作業にあたります。
現場では消臭・殺菌剤を散布して、臭いや菌が散らぬような梱包を施して、遺品を整理していきます。
あんしんネットの作業は、このように準備段階から他の遺品整理会社と違う、特殊な装備を施していると言えます。
遺品整理会社の質は、その会社が用意している資材を見れば一目瞭然です。
常に清潔に整理整頓された資材。それもきちんとした資材バックや容器に入っている。
常に洗濯されて清潔さを保っているユニフォーム。
常に整備点検されたトラック。
物の準備は、心の準備でもあり、現場作業にも大きく反映されます。
このような準備は、いわば当たり前のことなのですが、多くの遺品整理会社で励行されていないという現実は残念でなりません。
作業そのものは、第三者から見ると特殊に見えるかも知れませんが、特殊な準備を必要とする清掃現場というとらえ方からすると、「特殊清掃会社」という言葉も嘘ではありません。
残念ながら、今月に入り、梅雨時期からの暑さの影響もあったのでしょう、「孤独死」現場が急増しています。
それに伴う特殊清掃への出動も増えていますが、このような現場は、ないのが何よりです。
現在、地域包括支援センターや福祉行政の最前線の方々と、意見交換会はじめ勉強会の折に「孤独死撲滅」のための講演を行なっていますが、真剣に取り組んでいきたいものです。
孤独死現場の実態や、そこに至る原因。
どうすれば、なくすことができるか?
今後の課題も含めて、あんしんネットは提唱しています。
とある遺品整理会社の経営者が社員に言っていました。
「孤独死現場は金になる。遺族は何もわからない。特殊な作業をするから、見積金額は高くつけてもいいんだ」と。
会社名までは出しませんが、そんな思いで遺品整理をしているならば、遺族はもちろんのこと、亡くなられた方が浮かばれません。また、同業として、そんな思いの会社と同じに見られることは不名誉な話ですから、やめてもらいたいものです。
「遺品整理は心の整理」
あんしんネットの目指す遺品整理を、これからもまずは心を込めて、続けていきたいものです。
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