セルフネグレクトを徹底解説
セルフネグレクト(self neglect)とは、
自分のことを放棄して無気力状態になり、不衛生な環境で必要な食事をとらず、医療機関を拒否し続け、周囲から孤立し、生きる意志が欠落していくことです。
孤独死を引き起こすセルフ・ネグレクト(自己放任)とは・・・
自分への関心がなくなる・・・自己放任(セルフ・ネグレクト)の方は精神的に不安定になり、生活が荒れて、部屋がゴミ屋敷化してしまうケースがとても多いです。
あんしんネットでは、孤独死現場、特殊清掃、セルフネグレクトに陥る人たちの現場を700件以上経験してきました。2017年6月8日フジテレビ「ノンストップ!」の放送内容を基に、社会問題になってきた「セルフネグレクト」について、わかりやすく解説していきます。
全国区でみると毎年2万人以上の方が孤独死(孤立死)で亡くなっており、その8割以上が、このセルフネグレクトが原因と言われています。
孤独死というと「お年寄り」のイメージがあると思いますが、現実には若い世代がとても増えています。番組では、若い世代がセルフネグレクトから孤独死に陥りやすい二つのパターンを紹介しました。
妻と娘がいる40代会社員男性の場合・・・
離婚後、妻と娘が家を出て行ってしまった寂しさから私生活は乱れ仕事を休みがちになり、やがて退職。貯金を切り崩しての生活が続き、数か月後には家賃が滞納され、大家さんが締め切った部屋で衰弱死してるのを発見。
一人暮らし30代女性の場合・・・
仕事の疲労感から、帰宅しても何もできずに眠るだけの毎日を過ごし、遊びの誘いも断り続け、孤立してしまいます。その後、無断欠勤が続き心配した同僚が自宅を訪ねると、部屋の屋根まで積み上げられた部屋の隅で、心不全で発見。
どちらのケースも、生活や栄養状態が悪化しているのに意欲をなくし周囲に助けを求めない状態です。自覚がないまま気が付くとセルフネグレクトに陥ることがあります。65歳からとされる高齢者は地域包括支援センターが窓口として守られていますが、逆に65歳以下の年代層に関しては、明らかに障害があると認定された方しか相談や守ったりするところは無いに等しいのが現状です。精神疾患含めてセルフネグレクトとするのか、別にするのか大きい問題もありますが、明確に認定して費用をかけて支援することは、今後も難しいことだと思われます。
部屋の特徴から見るセルフネグレクトの傾向性
本や物を何でも積み上げて放置するのが当たり前な人やテーブルの上に食べ残し弁当を何日も放置したままの人、食べ物が腐ってる匂いを不快に感じず部屋の汚さに麻痺して気付かない状態の人は注意です。
日常的に見るセルフネグレクトの傾向性
好きなものしか食べない、歯磨きをしない、体を清潔にしない、病院に行くのが苦手、これら全てが日常的に続いている場合はセルフネグレクトの傾向性が高いです。
- まず自分の都合を第一に考える、約束を守らなくなる、相手の迷惑は考えない
- 起き上がることも面倒で、同じ場所にじっとすることが苦でない
- なんでも後での精神が根付きいつの間にか忘れている
- やらないとならないとは思うが、思うだけ
- 好きなこと、都合がよいことは没頭する
- シーツ、枕カバーなどの洗濯をしない、交換しない
- 歯ブラシ、髭剃りをしない(男性の場合)、歯ブラシ、化粧をしない(女性の場合)
- 生活習慣病でも治療や薬を服用しない、精神疾患が原因になっているケースもある
- 片づけの本や、自己啓発本を買うが読まなかったり実践できなかったり
- 万年床でその周りに必要な荷物を配置する
- トイレに行かず、ペットボトルに用を足す(しょんペット症候群)
- 着替えをしない、汚れてダメになるまで着続ける
- トイレを流さない、流し忘れる。
- 外出せずこもる、カーテンを開けない、来客でもドアを開けない、居留守を使う
- 小銭を使うことができなくなる(計算ができない)
- 居住地のごみ収集に出せなくなる、ごみをごみだと思っていない
- 外出をしないので、会話がなくなる、挨拶をしなくなる
- 些細なことで執着心が異常に強くなることがある
- 良いも悪いも判断がつかないことが多くなる
- 人見知りが激しくなる、人の話を聞かなくなる
- 介護認定申請をしていない、知らない
- 郵便物は開けないことが多い
- 電話も出ないことが多く、電源を切っていることも多い
成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。必要な食事をとらず、医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立し、孤独死に至る場合がある。
セルフ・ネグレクトの原因は・・進んでしまうと・・・
傾向として自分の殻にこもり、心に壁を作りプライドが高くなることがあるので、第三者が勝手に掃除してしまったり口出してくると激しく抵抗し、暴れたり罵倒したりとても攻撃的に変貌することがあり、更にその状態から逃げるようにアルコールに依存することも多くあります。そんな中でカップ麺や弁当ガラ、酒類の空き容器がどんどん増えていきそれがゴミ屋敷となることもあります。
セルフネグレクトチェック
下記の項目について、「常日頃そうである」というYESが多ければセルフネグレクトの状態である可能性が大です。また「人目が無い一人の状態になると、そうなる」「休日等にそうなる」という
YESが多い場合「セルフネグレクト予備軍」である危険性があります。まずは、セルフネグレクトの状況について、日々の生活をチェックしていきましょう。
- 入浴/洗顔/歯磨き等を億劫だと感じる/行いたくない
- 部屋の片付けや掃除をするのが面倒だ/行っていない
- ゴミ捨てをなかなか行わない/行っていない
- 栄養バランスを考えた食事を用意するのが面倒だ/行っていない
- 体の不調を感じても病院になかなか行かない/病院を拒否する
- 規則正しい生活を送れない
- 金銭感覚について、極端に節約志向もしくは散財志向がある
- 貯金等の金銭管理を行うことが煩わしい
- 一人暮らしである/家族があまり家に居ない
- 信頼できる友人・恋人・家族等が居ない/遠距離である
セルフネグレクトの対策
下記のような環境を整えることが重要です。
- 人をなるべく家に招く環境
- 社会や人と関わる環境
- 誰かに助けを求めることができる環境
突然セルフネグレクトになったりすることもあり、今後も増えていくことが予想されます。大事なのは、個人で対応するのでなく複数で温かく見守り支援していくことが重要です。
あんしんネットでは遺品整理や特殊清掃、ゴミ屋敷清掃の現場に立ち会っている経験を活かし、現在も各地で講演会やセミナーを頻繁に行っています。セルフ・ネグレクトのことを少しでも理解し、生活環境の改善を支援するために第三者が介入できる仕組み作りをしていくことがとても重要です。
それには支援者と支援を拒む人とのコミュニケーションのありかたを把握した上で、根気よく対話を重ね、地域社会による見守りなどの取り組みが必要とされます。